司法書士ねりま法務事務所

相続人中に判断能力が不十分な方がいる場合の相続について

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相続人中に判断能力が不十分な方がいる場合の相続について

相続人中に判断能力が不十分な方がいる場合の相続について

2024/11/27

当事務所での相続手続きのご相談を受ける中、相続人中認知症等で判断能力が不十分な方がいらっしゃる場合、どうしたらよいのかというご相談を多く受けます。

例えばお父さんが亡くなられてご高齢のお母さん(認知症状あり)、そのお子さんが数名いるという状況です。民法上は配偶者であるお母さんが1/2、お子さん数名が残りの1/2を頭数で分けあう計算となります。

仮にお父さんの遺産が自宅の土地建物と預金があるとしたら、何もしなければ自宅と預金が上記の割合で相続されることになります。

全ての遺産に対し、上記の分け方でいくと色々と不都合が生じるため、自宅はお母さんが住んでいるのでお母さんが相続、預金は子供たちで分け合うというような細かい取り決めをする場合は相続人全員で合意をし、遺産分割協議書というタイトルで書面化する必要があります。

この遺産分割協議書は契約行為となりますので、当然に相続人全員に判断能力、意思能力が求めれます。

今回の例で考えるとお母さんは判断能力が不十分といえますので、原則遺産分割協議はできないという結論になりそうです。

では絶対にできないかというとそうではなく、お母さんに家庭裁判所で選ばれた後見人をつけてその後見人がお母さんの代わりに他の相続人と話し合い遺産分割協議を行うことになります。

しかし、単に相続だけを行うために後見人をつけるというのはハードルが高いかもしれません。理由としましては、後見人はお父さんの相続のことを解決するための制度ではなく、お母さんが亡くなられるまで続くこと、1年に1回家庭裁判に財産目録、収支状況等を書面で報告する義務があるためです。

 

後見人に専門家が就くか否かでも異なります。後見人が身内であるお子さん等も就任できますが、通帳等の財産管理や家計簿なども細かく記録を取る必要があります。

我々司法書士等の専門家が後見人に就任する場合は、本人の財産(この場合はお母さんの財産)から報酬を支払う必要があります。報酬については勝手に決めるのではなく、家庭裁判所が本人の財産額から判断して無理のない金額を決定します。

 

また、後見人をつけた状態で遺産分割協議を行うには、家庭裁判所の判断を仰ぐ必要があります。これは被後見人であるお母さんの財産的な利益を守るためです。

実際の家庭裁判所からは、遺産分割協議を行う場合、お母さんの法定相続分である1/2の確保をするように言われることがほとんどです。

 

このように相続人中に判断能力が不十分な方がおられるケースでは、クリアすべき課題が多いのが実情です。

 

 

 

 

 

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